なぜ「今」ファンド選びを見直すべきか
新NISAが始まり、長期・分散・積立で資産形成を進める人が一気に増えました。ところが、銘柄は数百本以上。名前も似ており、初心者がどれを選べばいいのか分からない問題が発生しがちです。
本記事では、初心者向けに「迷ったらここから」で使える定番インデックスファンドを5本に絞って比較。低コスト・十分な分散・(原則)新NISAのつみたて投資枠で選びやすいという3条件を軸に厳選しています。

先に結論:この5本が“ハズしにくい”
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(以下、オルカン)
→ 世界中の株式1本でOK。まず迷ったらこれ。管理費用0.05775%。楽天証券+1 - eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
→ 米国に集中投資したいなら定番。管理費用0.0814%。楽天証券 - SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
→ バンガードETFを実質的な投資対象にする低コストS&P500連動。実質管理費用0.0938%。SBIアセットマネジメント+1 - 楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)
→ S&P500よりさらに広い米国“全市場”に連動。管理費用0.162%、指数はCRSP USトータル・マーケット。楽天証券+1 - <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド
→ 日本を除く先進国へ一括分散。管理費用0.09889%、指数はMSCIコクサイ。ナム+1
※手数料や対象枠の取り扱いは変更される場合があります。購入前に販売会社ページや最新の目論見書をご確認ください。
比較表(ざっくり仕様)
ファンド | 投資対象/ベンチマーク | 管理費用(信託報酬等・税込) | つみたて枠の取扱い* |
---|---|---|---|
オルカン | MSCI ACWI(配当込・円換算) | 0.05775% | 取扱いあり(販売会社による)楽天証券 |
eMAXIS Slim S&P500 | S&P500(配当込・円換算) | 0.0814% | 取扱いあり(販売会社による)楽天証券 |
SBI・V・S&P500 | S&P500(配当込・円換算)※実質VOO等 | 0.0938% 程度(実質) | 新NISAつみたて枠対応(SBI等)SBIアセットマネジメント |
楽天VTI | CRSP USトータル・マーケット | 0.162% | 販売会社によりつみたて枠で取扱い(例:楽天証券詳細欄)楽天証券 |
ニッセイ外国株式 | MSCIコクサイ(日本除く先進国) | 0.09889% | 取扱いあり(販売会社による)楽天証券 |
* つみたて枠の可否は販売会社の表示に従うのが実務上もっとも確実です(例:SBI・Vシリーズは公式が対応を明記、楽天VTIは楽天証券「詳細情報」で可能表記を確認)。SBI証券+1
1本ずつ“使いどころ”を解説
① オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)
- 特徴:先進国+新興国をまとめて保有。これ1本で“人類の株式市場”を買う設計。指数はMSCI ACWI。管理費用は**0.05775%**と極めて低コスト。マネックス証券+1
- 向いている人:銘柄選びに時間を使いたくない/“世界時価総額に素直に乗る”王道戦略を取りたい。
- 注意:日本も含むため「日本以外に偏らせたい」人はニッセイ外国株式の方がシンプル。
② eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- 特徴:米国の代表500社に集中。**管理費用0.0814%**まで低下(2025/1/25以降の水準)。楽天証券+1
- 向いている人:米国の強さを信じ、世界の中でも米国比率を高めたい。
- 補足:同ファンドは分配抑制方針(原則無分配)で再投資効率を優先。マネックス証券
③ SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
- 特徴:バンガードETF(VOO)等を実質投資対象とするファミリーファンド。実質管理費用0.0938%程度。SBIアセットマネジメント
- 向いている人:SBI証券でまとめたい/VOOベースの設計を好む。
- 補足:決算は年1回、近年は分配なしが続く(再投資効率重視)。APL Wealth Advisor
④ 楽天・全米株式インデックス(楽天VTI)
- 特徴:米国“全市場”に連動(CRSP USトータル・マーケット)。S&P500より銘柄が広い(大型〜小型まで)。管理費用は0.162%。楽天投信+1
- 向いている人:米国一本の中でも中小型の成長も取り込みたい。
- 補足:販売会社のページで新NISAの枠別(つみたて/成長)取扱い表示を確認してから発注を。楽天証券
⑤ <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックス
- 特徴:**日本を除く先進国(MSCIコクサイ)**に一本で分散。管理費用0.09889%。日本へのカントリーリスクを自然に薄めたい人に合う。ナム+1
- 向いている人:「国内給与・年金=円+日本企業エクスポージャー」を既に多く持っており、**投資では“海外だけ”**に寄せたい。
どう選ぶ?超シンプルな指針(早見表)
- 最初の1本で完結したい → オルカン
- 米国の強さに賭けたい → eMAXIS Slim S&P500 or SBI・V・S&P500
- 米国の中小型まで広く取りたい → 楽天VTI
- 日本を除く先進国に絞りたい → ニッセイ外国株式
迷ったら世界=オルカン、米国に振りたいならS&P500系、より広い米国ならVTI系。この三段活用で十分戦えます。
成功率を上げる「買い方」のコツ(初心者版)
- 毎月一定額の積立(ドルコスト平均)
相場を読まない。積立設定があなたに代わって**“感情を排除”**してくれる。 - クレカ積立やポイント還元の活用
SBIや楽天はクレカ積立に対応。ポイントは“副次的な期待リターン”。(SBI・Vシリーズは公式でクレカ積立対応を明記)SBI証券 - 枠配分は“つみたて枠でインデックス中心”
将来の売却幅を確保したい場合のみ成長枠も検討。 - リバランスは年1回、±5%以上崩れたら
買付配分で微修正する“緩やか方式”がおすすめ。 - 手数料は“年0.1%以下”を基本目標
複利の世界ではコストこそ最大の敵。オルカン0.05775%は世界水準で見ても優秀。楽天証券
ケース別ポートフォリオ例(始めたて想定)
- ケースA:これ1本でOK派
オルカン100%。管理も超簡単、世界の配分に自動で追随。マネックス証券 - ケースB:米国を厚めに
eMAXIS Slim S&P500 70%+オルカン30%(国内外の広がりも少し残す)。楽天証券+1 - ケースC:日本リスクを抑えたい
ニッセイ外国株式80%+オルカン20%(新興国の芽も少量取り込む)。ナム+1 - ケースD:米国の裾野まで
楽天VTI70%+オルカン30%(中小型を含む全米+世界の残り)。楽天投信
いずれも債券や現金比率は別途、年齢・生活防衛資金・住宅ローン状況で調整を。
よくある質問(FAQ)
Q1. オルカンとS&P500、どっちが良い?
A. “正解”は将来にならないと分かりません。国際分散=オルカンは「後悔最小化」、米国集中=S&P500は「期待値重視(ブレ大)」の性格。両者を5:5や7:3でミックスするのも現実的。マネックス証券+1
Q2. SBI・VとSlim(S&P500)は何が違う?
A. どちらもS&P500連動。SBI・VはVOO等のETFへ実質投資する設計で実質コストの表記が0.0938%程度。Slimは0.0814%(段階料率あり)。取り扱い口座や利便性で選べばOK。SBIアセットマネジメント+1
Q3. 楽天VTIは新NISAのつみたて枠で買える?
A. 販売会社の表示に従ってください。楽天証券の詳細情報にはつみたて枠/成長枠で可能の表記があり、同ページに管理費用0.162%や指数(CRSP)も明示されています。発注前にご自身の口座画面の表示で最終確認を。楽天証券
Q4. ニッセイ外国株式は何が便利?
A. MSCIコクサイ=日本除く先進国が一撃で持てます。仕事や不動産など“日本偏重”になりがちな家計構造のバランサーとして相性が良いです。ナム
失敗しない運用ルール(超重要)
- ルール①:20年やる前提で組む
短期の当たり外れより、続けられる仕組みを。 - ルール②:下げ相場ほど“自動”に任せる
暴落時に手動で止めると、回復の果実を逃しやすい。 - ルール③:コストと税制に敏感
年0.1%の差×20年はリターンを大きく左右。NISA枠の再利用性も理解しておく。 - ルール④:情報源は一次で
手数料・指数・対象枠などは販売会社/運用会社の公式で都度確認(本稿の出典リンク参照)。
まとめ:銘柄選びは“決断”より“継続”が9割
5本のうちどれを選んでも、長期・分散・低コスト・自動積立が揃えば、初心者としての方向性は合格点です。
最初の1本に迷ったらオルカン、米国を厚くしたいならS&P500(Slim or SBI・V)、より広い米国なら楽天VTI、日本を除く先進国へ寄せたいならニッセイ外国株式。この“地図”で十分走れます。ナム+4楽天証券+4楽天証券+4
最後に:手数料や対象枠は変わり得るので、節目ごとに公式ページで再確認を。今日の小さな積立が、20年後の大きな差になります。
参考・一次情報
- オルカン:管理費用0.05775%/楽天証券商品ページ、指数解説(MSCI ACWI)。楽天証券+1
- eMAXIS Slim S&P500:管理費用0.0814%(2025/1/25以降)。楽天証券+1
- SBI・V・S&P500:実質管理費用0.0938%/新NISAつみたて枠対応の言及。SBIアセットマネジメント
- 楽天VTI:管理費用0.162%、指数CRSP USトータル・マーケット、楽天証券詳細欄の新NISA枠表示。楽天証券+1
- ニッセイ外国株式:管理費用0.09889%、ベンチマークMSCIコクサイの定義。ナム+2ナム+2
コメント