2025年3月28日。ミャンマーを震源とするマグニチュード7.7の大地震が、隣国タイにも大きな揺れをもたらしました。
その影響で、バンコクに建設中だった30階建ての政府庁舎ビルが倒壊。13人の命が奪われ、約70人が現在も瓦礫の下に閉じ込められているとみられています。
このビル倒壊は、被災地の中で唯一の高層構造物の倒壊例であり、特に施工を担当していた中国国有企業「中国中鉄(CREC)」の子会社に対する疑惑の声が高まっています。

✅ なぜ“このビルだけ”倒壊したのか?
地震による影響はタイ国内にも広がり、20人の死者が確認されていますが、特に注目されたのが、首都バンコクで唯一倒壊した主要建築物であるこの政府庁舎ビルです。
周囲には同じような高層ビルが多数立ち並んでいますが、他に大きな被害は確認されていません。この「不自然な倒壊」に対して、多くの国民が強い疑問を抱きました。
タイのペートンタン首相はすぐにコメントを発表。
「どこでミスが起きたのかを調査する必要がある。設計段階で何が起こっていたのかも調査する」
と述べ、徹底調査を命令。タイ政府は安全基準の見直しを含めた検証に着手しています。
✅ 建設を請け負ったのは「中国中鉄」と「イタリアンタイ」
問題のビルは、タイ最大級の再開発地域チャトゥチャック市場近くに建設されており、完成すれば政府系施設として利用される予定でした。
建設を担当していたのは、中国中鉄の子会社「中鉄十局」と、タイの大手ゼネコン「イタリアンタイ・デベロップメント(ITD)」による共同プロジェクト。
しかし倒壊後、現場で使用されていた鉄筋の一部が基準を満たしていなかったことが判明。
さらに、資材供給元の1社は昨年12月の安全テストに不合格となっていたことも明らかになりました。
このような「見過ごされていた事実」が次々と発覚したことで、“人災ではないか”という見方が急速に強まっています。
✅ 手抜き工事の疑いと、過去の前科
今回施工を担当した「中国中鉄(CREC)」は、国有の巨大建設企業であり、世界90以上の国と地域でインフラ事業を展開しています。
しかし、過去にも重大な施工トラブルを起こしていることが注目されています。
- 2024年11月 セルビアの鉄道駅で屋根崩落事故
- CRECの子会社が施工
- 死者14名、手抜き工事の疑惑が浮上
また、タイ国内では出稼ぎ労働者団体が以前から**「中国企業による安全管理の甘さ」「労働者の権利侵害」**を指摘しており、社会的な不信感が蓄積されていたともいえます。
✅ SNS削除、証拠隠滅疑惑も
さらに問題を深刻化させているのが、地震後の企業側の対応です。
中鉄十局は、完成間近の構造物を称えるSNS投稿を地震直後に削除していたことが報じられました。
加えて、**現地メディアが報じた“証拠書類の持ち出し疑惑”**も事態を複雑にしています。
地元紙によると、ビル倒壊現場から書類を回収しようとしていた中国人4人が拘束されたとのこと。
これにより、単なる“工事ミス”から、“証拠隠滅の意図があったのではないか”という疑念にまで発展しているのです。
✅ グローバル建設業界の「影のリスク」
この事件は、中国企業に限った話ではなく、グローバル化した建設業界における構造的リスクをあぶり出すものとなりました。
✔ 信頼より安さが重視される国際入札
多くの新興国では、安価にインフラを整備するために、中国企業を含むコスト優先の業者に発注することが一般的になっています。
✔ 管理体制の脆弱性
現地の監督体制や検査プロセスが甘いと、設計ミスや施工不良が見過ごされる可能性があります。今回の事故もまさにその典型例です。
✅ 投資家・経済ウォッチャーとして注目すべきポイント
今回の件は単なる災害ニュースではなく、**「インフラ整備×海外企業×品質管理」**という複雑な要素が絡み合ったリスクの象徴です。
- ESG(環境・社会・ガバナンス)投資の観点では、建設会社のコンプライアンス体制や人権意識が問われます。
- 不動産・インフラ関連銘柄に投資している人は、企業の施工実績や信頼性をより厳しく精査する必要があります。
- 新興国での建設プロジェクトは、政治リスクや規制面のリスクも抱えており、慎重な判断が求められます。
✅ まとめ|「安さ」の裏に潜む代償を見極める目を
今回のビル倒壊は、ただの施工ミスでは済まされません。
そこには、**「見えないコスト」や「軽視された人命と安全」**が潜んでいた可能性があります。
建設会社にとって、信頼は命。
その信頼が一度失われれば、国内外での受注にも大きな打撃となるでしょう。
経済成長を支えるインフラ事業こそ、透明性・安全性・説明責任が必要な時代。
私たち投資家や消費者もまた、「価格の安さ」だけでなく、その裏にあるリスクを見極める力が求められています。
📌 今後の調査結果次第では、国際的な責任問題や新たな規制強化の動きも出てくるかもしれません。続報に注目していきましょう。
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