老後に2000万円必要――この衝撃的な言葉が話題になったのは2019年。
それから5年以上が経った2025年現在、実際に50代・60代・70代の日本人はどれだけ貯蓄しているのか?
そして、本当に2000万円を貯めている人はどれくらいいるのか?
この記事では、金融経済教育推進機構(J-FREC)の最新調査データをもとに、各世代の平均・中央値・貯蓄2000万円超えの割合を分析し、年金額や老後生活費といった実際の生活の数字と照らし合わせながら、老後資金のリアルと向き合うためのヒントをまとめました。

✅ 50代・60代・70代の「貯蓄額」はどれくらい?
まずは、実際にどれくらいの貯蓄を持っているのかをデータで見てみましょう。
これは2024年の「家計の金融行動に関する世論調査(J-FREC)」をもとにした、**二人以上世帯の貯蓄額(普通預金を除く)**です。
年代 | 平均貯蓄額 | 中央値 |
---|---|---|
50代 | 1,168万円 | 250万円 |
60代 | 2,033万円 | 650万円 |
70代 | 1,923万円 | 800万円 |
平均値を見ると、「2000万円問題はクリアできている?」と感じるかもしれませんが、実は中央値との大きな差が注目です。
✅ 50代の中央値はわずか250万円。
✅ 60代でも650万円、70代で800万円。
これは一部の高資産世帯が全体の平均を押し上げており、「多くの人はそこまで貯められていない」ことを示しています。
✅ 2000万円以上の貯蓄を持っている人はどれくらい?
実際に「2000万円以上」の貯蓄を持っている世帯の割合は以下の通りです:
- 50代:17%(約6世帯に1世帯)
- 60代:28%(約3.5世帯に1世帯)
- 70代:27.9%(約3.5世帯に1世帯)
つまり、60代・70代でも7割以上の世帯は2000万円を貯められていないという事実があります。
✅ 年金だけで足りる?老後の収入をチェック!
貯蓄と並んで重要なのが、老後の毎月の収入源である年金です。
厚生労働省の資料によると、以下が現在の平均受給額です。
国民年金(基礎年金)
- 全体平均:5万7,584円
- 男性:5万9,965円
- 女性:5万5,777円
これは、自営業・フリーランス・専業主婦など、厚生年金に加入していなかった人が対象です。
月6万円未満では、家賃・食費・光熱費すらまかなえないという人も多いのではないでしょうか。
厚生年金(基礎年金+報酬比例部分)
- 全体平均:14万6,429円
- 男性平均:16万6,606円
- 女性平均:10万7,200円
会社員・公務員経験者であれば、厚生年金を受け取ることができ、平均月額は約14〜16万円。
ただし、個人の勤務年数や収入により差が出るため、あくまで目安として見ておく必要があります。
✅ 老後の生活費はいくら必要?
年金の平均受給額を踏まえて、実際に必要な生活費を見てみましょう。
総務省「家計調査報告(65歳以上・無職夫婦世帯)」によると:
- 最低限の生活費:月25万円前後
- ゆとりある生活費:月30〜35万円以上
✅ 最低限の年金だけでは「赤字」になるケースが多く、貯蓄の取り崩しや副収入が必要です。
✅ 旅行・趣味・交際費・介護費などを見込むと、年100万円以上のギャップが出る人も多い。
✅ なぜ貯蓄ができていないのか?
ここで疑問なのが、「なぜ7割以上の世帯が2000万円を貯められていないのか?」という点です。
主な要因としては以下のような背景があります。
- 長引く低賃金・非正規雇用
- 教育費や住宅ローンなどの支出負担
- 投資・資産運用の機会損失
- 金融リテラシー不足
特に、投資や資産運用を「怖いもの」として避けてきた層にとっては、お金が増える機会がないまま老後を迎えてしまったというケースも少なくありません。
✅ いまからでも間に合う?老後資金の備え方
貯蓄が不十分でも、「いまからできること」はたくさんあります。
以下のような戦略で、老後に向けた資産形成をリスタートしましょう!
💡 1. 固定費の見直しと生活防衛資金の確保
まずは支出をコントロール。通信費、保険、サブスク、住居費などを見直し、毎月3〜5万円の浮き資金を作ることから始めます。
💡 2. 新NISAを活用した長期積立投資
2024年からスタートした新NISA制度は、長期的な資産形成に最適な制度です。
特に、**インデックス型の投資信託(例:S&P500)**を選べば、手間なく分散投資が可能です。
💡 3. 配当株・インカム資産で「不労収入」をつくる
時間的余裕があるなら、高配当株やREIT、インフラファンドなどを活用して、毎月1〜3万円の配当収入を得ることも検討すべきです。
💡 4. 自分の年金額を正確に把握する
「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を使えば、自分が将来もらえる年金額を確認できます。
想定年金額 − 必要生活費 = 老後資金のギャップを明確にしましょう。
✅ まとめ|「2000万円」という数字にとらわれすぎないで
🔹 確かに2000万円を貯められる世帯は、50代で17%、60代・70代でも3割以下という厳しい現実があります。
🔹 ですが、重要なのは「一律の金額を目指す」ことではなく、**「自分に合った老後資金の計画を立てること」**です。
✔️ どんな生活をしたいのか?
✔️ いくら必要なのか?
✔️ 何歳まで働くのか?
✔️ どんな投資をしていくのか?
一人ひとりの状況に合わせた戦略的な準備と習慣の見直しが、老後の安心を築く第一歩です。
📌 まずは一度、家計簿と「ねんきん定期便」を見ながら、自分の未来設計図を描いてみませんか?
将来の不安を“行動”で安心に変える――それが、いま私たちにできる最善の選択です。
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