日本取引所グループ(JPX)の企業分析と株価予想|2025.03.

日本取引所グループ(JPX:Japan Exchange Group)は、東京証券取引所(東証)・大阪取引所(OSE)・日本証券クリアリング機構(JSCC)を統括する、日本の金融市場を支える重要な企業です。
JPXは、国内外の投資家が利用する証券・デリバティブ市場の運営を担い、日本経済の成長とともに安定した収益を確保しているビジネスモデルを持っています。

本記事では、JPXのビジネスモデル・競争優位性・成長戦略・今後の展望について詳しく分析していきます。


✅ 日本取引所グループ(JPX)の基本情報

📌 JPXは、日本最大の証券取引市場を運営する企業であり、株式市場の活性化と金融インフラの発展に貢献。

項目内容
会社名日本取引所グループ(Japan Exchange Group, Inc.)
設立2013年(東京証券取引所と大阪証券取引所の統合)
本社所在地東京都中央区
市場東京証券取引所プライム市場上場
事業内容証券市場・デリバティブ市場の運営、取引システムの提供
主な取引所東証(現物市場)、OSE(デリバティブ市場)、JSCC(清算業務)

💡 JPXは、日本の金融市場において中心的な役割を果たす、インフラ型ビジネスモデルを展開している企業。

投資家Y
投資家Y

市場の活性化とともに成長するビジネスモデルが特徴だ。
競争がほぼ存在しない独占的地位を確立しており、景気変動の影響を受けにくいディフェンシブ銘柄として、長期投資にも適しているぞ。


✅ JPXのビジネスモデルと収益構造

📌 JPXのビジネスモデルは、取引所運営を通じた手数料収入が中心。

JPXの収益は、**「取引関連収入」「清算関連収入」「上場関連収入」**の3つの柱によって支えられています。

① 取引関連収入(約60%)

📌 株式・先物取引の売買手数料が主要な収益源。

東京証券取引所での株式売買手数料
大阪取引所でのデリバティブ(先物・オプション)取引手数料
高速取引(HFT:High-Frequency Trading)による取引増加が追い風

💡 市場の活性化が進むほど、JPXの収益も拡大する仕組み。


② 清算関連収入(約25%)

📌 JSCC(日本証券クリアリング機構)による取引清算業務で安定収益を確保。

証券取引の決済機能を担い、清算手数料を獲得
デリバティブ取引や信用取引のリスク管理サービスを提供
金融システムの安定性を支える役割を果たしながら収益化

💡 市場全体の安定性を高めると同時に、取引増加に応じて収益が成長。


③ 上場関連収入(約15%)

📌 新規上場(IPO)や上場維持費用がJPXの収益源となる。

企業のIPO(新規上場)手数料
上場企業の年間上場維持費(上場料)
市場区分改革による企業の東証プライム市場移行促進

💡 新規上場が増えると、JPXの収益も安定的に成長。


投資家Y
投資家Y

主な収益源は ①取引手数料(株式・デリバティブ) ②清算業務(JSCC) ③上場関連収入(IPO・上場維持費) の3本柱。
取引高が増えれば手数料収入が拡大し、新規上場が活発化すれば上場関連収入が伸びる構造で、市場の活性化とともに成長し、景気変動に左右されにくいディフェンシブな特性を持つ優良企業だ。

✅ JPXの競争優位性

JPXが強みを持つポイントは、以下の3つにまとめられます。

① 日本最大の金融市場インフラを運営

📌 国内外の投資家にとって、JPXは欠かせない市場。

日本の上場企業数は世界3位、時価総額は世界4位(2025年時点)
TOPIX、日経225、マザーズ(グロース市場)など、多様な投資機会を提供
海外投資家の取引比率が高く、グローバルな影響力を持つ

💡 JPXは、日本経済とともに成長する「金融インフラ企業」。


② 規制・法律による強固な市場支配

📌 証券取引所の運営は、高い参入障壁があり、JPXが独占的地位を確立。

政府・金融庁の監督下にあり、新規参入が困難
国内ではJPXが事実上の唯一の取引所運営企業
競合がほぼ存在しないため、安定した収益基盤を確保

💡 JPXは規制に守られた安定企業であり、長期的に安定した収益を期待できる。


③ デジタル化・取引高速化の推進

📌 システム強化により、取引量増加の恩恵を受ける。

アルゴリズム取引(HFT)の増加に対応した取引システムの強化
デジタル証券(STO:Security Token Offering)市場の創設
ブロックチェーン技術の活用による新たな金融商品取引の拡大

💡 JPXは、テクノロジーを活用した金融市場の進化を推進。


投資家Y
投資家Y

国内唯一の証券取引所運営企業として、競争相手がほぼ存在せず、安定した収益基盤を確立している。
さらに、規制と法律に守られており、新規参入が極めて困難な市場構造。
取引の電子化・高速取引(HFT)・デジタル証券(STO)など、新技術を活用した成長戦略も魅力。
日本経済とともに堅実に成長し続ける、**「攻守ともに強い」ディフェンシブ銘柄といえるだろう。

✅ 株価分析

JPXの株価が年々上昇している理由はこれまでに述べた通り、安定した収益構造と確固たる競争優位性を持っているからだと言えるでしょう。
本記事では10年後のJPXの株価と期待収益率をこれまでのROEとEPSをもとに予想します。

ROEから予想する期待収益率と10年後の株価

まずは株主資本の予想成長率を求める。
株主資本の予想成長率=ROE(1-配当性向)となるので、過去10年間の平均から
ROE=16% 配当性向=70% とすると
16%(1-70%)=4.8%  予想成長率=4.8%となる。

次に株主資本の予想成長率と直近の一株当たり株主資本(BPS)から10年後の予想BPSを計算する。
つまり、予想BPS=直近のBPS×(1+株主資本の予想成長率)^10となるので
直近のBPS=315円 とすると
315×(1+4.8%)^10=503  予想BPS=503円となる。

これに平均ROEを掛けて10年後の予想EPSを計算する。
503×16%=80 予想EPS=80円。

そして過去10年間の平均PERを掛けると10年後の予想株価が求められる。
平均PER=22倍とすると
80×22=1760 予想株価は1760円となる。

最後に予想株価と現在の株価から期待収益率を計算する。
期待収益率=(予想株価/現在の株価)^1/10-1 となるので
(1760/1580)^1/10-1=1.0 期待収益率=1%となる。

つまりJPXの株価は今後10年間は年平均で1%成長すると予想できる。

過去のEPS成長率からみた期待収益率

まずは直近のEPSと10年前のEPSから過去の平均EPS成長率を求める。
平均EPS成長率=(直近のEPS/10年前のEPS)^1/10-1となるので
直近のEPS=58円 10年前のEPS=31円 とすると
(58/31)^1/10-1=6.4%  平均EPS成長率=6.4%となる。

次に平均成長率と直近のEPSに基づいて10年後の予想EPSを計算する。
予想EPS=直近のEPS×(1+平均成長率)^10となるので
58×(1+6.4%)^10=107 予想EPS=107円。

この予想EPSに10年間の平均PER=25倍を掛けると
107×22=2354 10年後の予想株価=2354円となる。

期待収益率=(予想株価/現在の株価)^1/10-1 から
(2354/1580)^1/10-1=4.0% 期待収益率は4.0%となる。

つまりJPXの株価は今後10年間は年平均で4.0%成長すると予想できる。

分析結果

ROEに基づいた予想とEPSに基づいた予想で大きな違いはあるが、
10年後の予想株価は 1700円~2300円
期待収益率は 1%~4% と予想することができる。

これに加えてJPXは配当利回りが平均3%前後なので配当金も含めると
期待収益率は 4%~7% という予想になる。

※もちろん今後さらに株価が下がったり、平均PERの値を変えれば予想は変動する。

✅ JPXの今後の成長戦略

JPXは、今後も日本の金融市場の発展とともに成長が期待されます。
特に、以下の3つの戦略に注目が集まります。

① 海外投資家の呼び込み強化

📌 海外投資家比率を高めるための市場改革を推進。

株式市場のグローバル化に対応し、外国企業の上場誘致を進める
海外投資家向けの英語情報開示強化


② 新たな金融商品・デリバティブ市場の拡大

📌 ETF・REIT・暗号資産関連商品の取引を強化。

暗号資産ETFやデジタル証券市場の開設を検討
インフレ対応の金融商品(コモディティ・金ETF)の拡充


③ 取引システムのDX(デジタル化)推進

📌 ブロックチェーン技術やAIを活用し、取引の効率化を図る。

取引の透明性・スピード向上
分散型金融(DeFi)との連携も視野に


✅ まとめ

  • JPXは、日本最大の証券取引所グループであり、安定した収益基盤を持つ金融インフラ企業。
  • 強固な規制・独占的地位を持ち、長期的に安定した成長が期待できる。
  • 今後は海外投資家の呼び込み・デジタル化推進・新規金融商品の拡充が成長のカギ!
投資家Y
投資家Y

JPXは安心して長期保有できる銘柄だと思うが、個人的には予想した期待収益率が少し低いと感じるため、もう少し株価が下がるまでは買うことはないと考えている。

📌 投資家にとって、JPXはディフェンシブな安定銘柄として注目の企業と言える!
長期的に市場インフラとしての役割を担いながら、取引量の増加や新規上場の活性化によって収益を拡大できる強みを持つ。
また、景気変動の影響を受けにくいビジネスモデルに加え、デジタル化や新たな金融商品の導入による成長余地も十分に残されている。

日本経済の発展とともに安定成長が期待できるJPXは、守りを固めつつ着実に資産を増やしたい投資家にとって、魅力的な選択肢の一つとなるだろう。

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